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作品情報

ストーリー

突然、雅人は病院のベッドで目覚める。自分に何が起きたのかわからない。
見舞いにきた友人の亀井は「おまえは車ごと崖から落ちた。」と告げる。精密検査の結果、頭に外傷はなかった。しかし、雅人には事故当日の記憶がない。記憶障害と診断され入院生活を続ける。そんな時、亀井から恋人の遥と車でデートにでかけて事故にあったと言われる。自分に恋人がいたこと、名前が遥ということ、全てを忘れてしまっている雅人は衝撃を受ける。恋人のことを思いだせない彼は徐々に精神状態が不安定に。携帯の画面に残っている遥の写真にも覚えがない。精神障害になり無為な日々を過ごしていたある日、亀井が雅人に意外な話をもちかける。

「TMS治療を受けてみないか?」
TMSとは、うつ病の治療にも用いられている「経頭蓋磁気刺激法」と呼ばれる治療で、雅人が大学の研究課題として選んでいた精神科の先進医療である。TMSを応用して脳の特定の部位に刺激を与えることで精神治療にも効果があるはず、という仮説は雅人が授業で発表している。自分を実験台にしてTMS治療を受けることにした雅人。ほどなくして彼のまわりに異変が起こる。

写真で見た遥が目の前に立っているのだ。
彼女は最初、言葉を発しない。雅人はTMS治療を続けていくうちに遥の記憶を取り戻していく。そして、幻肢として存在する遥と会話をかわし、デートで行った思い出の場所を2人でめぐっていく。実際にはいない遥と一緒に過ごす時間が多くなってきた雅人は、やがて事故の日の記憶を全て思いだす。
あの日、自分が何をしたのかわかった雅人はくやみきれない後悔にさいなまれる。だが、現実は彼が想像していた世界とは大きく違っていた――。

幻肢とは?

不慮の事故で自分の手や足を失った時、喪失のショックが自我の崩壊に向かうのを防ぐ為、脳が防衛機能を発揮し手や足の幻をみせて、精神の安定をはかろうとする事。

TMSとは?

経頭蓋磁気刺激(けいとうがいじきしげき)法のこと。TMSは日本ではまだあまり知られていない治療法であるが、アメリカにはTMS治療機のある病院が約500あり、抗うつ薬が効かない場合の手段としてTMSを試すことを精神医学会がガイドラインで推奨している。
通常、うつ病の人は前頭野などの活動が低下している場合が多い。TMSは脳に磁気刺激を与え活性化させ、症状を改善させる。
TMSは身体治療なので、うつの全ての原因を解決することはできないが、10年以上も投薬治療を続けていてもうつが改善しない患者が多くいる現状を考えると、有効な治療法のひとつであることは間違いない。
尚、本作では主人公・雅人が記憶喪失の症状を改善させる為にTMSを使用している。これは彼が医大生として立てた仮説を自身に応用するという物語上の創作で、現実に記憶喪失治療にTMSが使用されているわけではない。

※週刊東洋経済(’14.1.18号)の記事を参考

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